2021-08-15

短調の音になる弓

雨が続いて急に涼しくなり、全然夏らしくない日、ヴァイオリンのレッスンへ行って来ました。
このところ忙しく、せっかく時間をつくってヴァイオリンの練習をしても、気持ちがわさわさしているせいか「天国の音モード」になれなくて、現実的な、心地良くない音になっている気がしていました。

レッスンが進むにつれだんだんいつもの調子を思い出して気持ちが落ち着いたところで、短調の音階をそれに相応しい音で弾くためにペカットの弓で弾いてみることに。天国の音が出るトルテの弓、それとは対照的なペカットの弓、実際にそれで弾いてみることができるわたしは何て恵まれているのでしょう!

自分の弓はとても軽いので、持ち替えるとまず重さが違い、音を出すと弦に弓の毛がくっつくように感じて(よく言う「吸いつく」というのとは違います)動かすのが重たく、うまく言葉にできないけれどやっているうちに「短調の音」が出てきました。なんというのか、音が霧のように空気に拡散していかない、見えない天井があって抜けられず圧力が溜まっていくような感じ。ああ、表現するのは難しいですね。

いつものように、しばらく弾いて感じを覚えた後に自分の弓に持ち替えて弾くと、同じではないけれど似たような「短調の音」が出てくるのです。これが自分の楽器と弓で出せる「短調の音」だとわかります。ヴァイオリンの音は楽器と弓で出すには違いないのですが、「その音」を知っているかどうか、なのだそうです。頭の中にある音が出てくるので弓やヴァイオリンが違っても近いイメージの音が出てくるみたい。

この後もまだ少しの間落ち着かない日程ですが、その中でヴァイオリンと過ごせる時間は、落ち着いた穏やかな気持ちでいなくてはもったいないですね。ヴァイオリンを弾くこと、当たり前になっていて、時には義務感で練習していたりしますが、とても贅沢で幸せな時間です。

雨のレッスンはヴァイオリン持って傘さして、今日は写真は…と思ったけれど、撮るとその時の気持ちが写ります。
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